地球の反対側で考える(パラグアイから発信)

「パラグアイに行こう」の作者が地球の反対側で考えた事を綴ります。また訪日した感想も綴ります。

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2011年に福島第一原発の事故が起きそれ以降世界では原発に対して非常に危険であるという認識が急速に広まりつつあります。南米のパラグアイ、水力発電だけで十分に国内の電力需要を満たしている国に住んでいますと原発等は遠い世界の自分達には無関係の話として余り関心を持たずに居ました。ところが全国紙に「対岸のアルゼンチン・フォルモサ州に原発建設」という記事が掲載されました。フォルモサ州は川を挟んで向かい側の土地で以前はパラグアイの領土でしたが、戦争でアルゼンチンに割譲を余儀無くされた土地です。大統領府から近い所では僅か5キロくらいしか離れていません。その州内に原発を建設する計画があるというかなりセンセーショナルな記事でその中で原発の絵と候補となっている5ヶ所の地図と共に掲載されました。地図を見ますと一番パラグアイに近い候補地は何と首都アスンシオン市の対岸で、他のどの候補地もパラグアイから数キロという位置にあります。話が出て来た理由の一つとして考えられるのはアルゼンチンは4番目の原子力発電所建設を既に決めており、それを中国と技術協力を行う意向で検討に入った事にあるようです。今までのプロジェクトを見直してフォルモサの名前が出て来たのかも知れません。最近急速に中国と結びつきを強めているアルゼンチン、台湾承認国のパラグアイにプレッシャーを掛ける意図もあるのかも知れません。

パラグアイは世界の中で一番近い原発から約1000キロは離れており原発から離れて住みたいという人には絶好の場所で日本からも原発を嫌った人達が移り住んで来ています。その方達には寝耳に水の話で中には場合によっては再度移住を検討しなければならないと深刻な表情を見せる方もいました。パラグアイの人にとっては原発など全く意識の外、他人事ですが、世界中で原発に対する議論があり、さすがに関心を持つようになりこのニュースを話題にしていました。もしこのような施設が出来るとパラグアイにとっては全く利益が無くリスクだけ負うことになります。他の新聞でもこの話題が取り上げられました。内容は原発の危険性を訴える記事ばかりでポジティブな建設推進の記事は皆無でした、まあ当然の反応でしょう。

南米の原発に関して調べますとブラジルに1ヶ所、アルゼンチンに2ヶ所あるだけです。ブラジルはサンパウロの近く、アルゼンチンはブエノス・アイレスとコルドバの近くです。要するに大都市の需要を賄う為に大消費地からそれ程遠くない場所に建設されている訳です。かなり以前1980年頃までは世界中で原子力発電は花形と見られ未来型の発電所としてクリーンなイメージで持て囃されていました。安いエネルギーが魔法のように湧き出るというような印象がありました。日本の大学にも「原子力工学科」があり人気を集めていました、当時は最先端の未来志向のポジティブなイメージでした。科学技術の進歩の象徴という位置付けであったように思います。プロ野球の球団でも「アトムズ」なる球団があった程です。

ところが、1986年のチェルノブイリの事故辺りからその危険性が認識されるようになり、福島第一原発の事故で危険という意識は更に強まりました。国際原子力機関::IAEAという世界的な組織があり、原子力の平和利用を促進する事が目的で作られた組織ですが加盟国の中で指定理事国というものがあり、先進的な13ヵ国が特別な加盟国となっています。日米欧等の先進国の他、南アフリカとインドそして何とアルゼンチンがこの中に入っています。地域的なバランスを考慮して先進国だけなく、アジア、アフリカ、ラテンアメリカのそれぞれの地域から一ヵ国を選んだのでしょう。もしも新たな場所に原発を建設するとなりますとこの:IAEAが環境アセスメントを行い、環境や周辺国に影響が無いか、等原発が適正なのかどうか調査する事になりますので、簡単にその国の意思だけでは新規の建設は難しい状況であると言えるでしょう。住民の意識も変化しており、世界いずれの国でも全く新規の原発を建設する事はかなり難しいで状況と言えるでしょう。アルゼンチンは2009年に3ヶ所目となる新たな原発を建設する事を決めているようですが、未だに場所の選定を終えていないはこの為だと思われます。

さて、フォルモサの原発プロジェクトに関してですが、その後新聞に専門家のコメントが掲載されました。「確かにそのプロジェクトは存在した、ただそれだけでその後は何も無い」という事でした。多分原発に対してポジティブな時代の計画なのでしょう、その後近くに巨大なヤシレタ水力発電所が出来て過疎とも言えるこの地域には十分な電力が供給されるようになっています。わざわざ電力不足が懸念されている大消費地から遠く離れた場所で原発を建設する合理的な理由は全く無く、実施する可能性はまず無いでしょう。ただ記事の中でその専門家は外交ルートを通じて建設をしない確約を取り付けておくことは必要だろうと指摘しています。確かに可能性は低くても確認だけはしておいた方が無難でしょうね。パラグアイに住む人にとっては原発は遠い世界の事という感じでしたがこの件で何時でも自分達にも降りかかる問題であると認識した事は良かったと思います。個人的にも身近に出来る事と考えると本当に不気味な感じでした。原発は稼働を止めて廃炉にする場合には膨大なコストと時間が必要になります、今後は新規の建設はしない事が大切なのでしょうね。
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